欲しがります負けたって

ミュージカルと旅とたべもの

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

キャッチミーイフユーキャン@シアタードラマシティ 感想



フランク・アバグネイルJr:松岡充
カール・ハンラティ:今井清隆
フランク・アバグネイルSr:戸井勝海
ポーラ・アバグネイル:彩吹真央
ブレンダ・ストロング:菊地美香


映画版が大好きで、舞台版の2011年トニー賞パフォを見てからずっと観てみたいと思い続け、韓国でもポスターを見て羨ましかったCMIYC。運良く大阪で観ることができた!

大きい箱で映像多用しているイメージだったので、シアドラでどう収まるかなーと思っていたけど、なかなかコンパクトに可愛い舞台になっていた。バンドの目隠しがチーズになっているのとかすごく可愛かった!

個人的には感想を一言で言うと「惜しい」
幕間に「よくわからなかった…」と話すお嬢さん方を見かけたけど、確かに1幕は猛スピードであらすじをさらうので映画を見ていなければかなり性急な感じがするんじゃないかなあ。2幕はテーマを父と息子(SrとJr、ハンラティとフランク)に絞っていたし、曲も耳に残るものが多くて厚みがある。

ただ全体的に、散漫しているなあと感じた。場面場面が切り貼りされている感じ。特に1幕は時系列を行き来することもあって、途切れて見える。場面自体はすごく良いのに、次の場面への繋ぎ方がフェードアウトっぽいから、なんとなくもやっとしてしまう箇所もいくつか。

なにせ映画がもの凄く良い作りなので、あのテンポを舞台で表現するのは難しいんじゃないかなあ。テレビショーのような演出と移動する枠組が面白かったけど、なんとなく静かでショーエンタメとしてはちょっと足りない。
映像で見る限り本家はプロデューサーズのような、アメリカ!ギラギラ!ショーエンターテイメント!って感じの空気が売りなんだと思うけど、箱の大きさと人数、そしてやっぱり日本人のショークオリティでは同じ空気は出せない。
それならいっそ韓国版のようなアイドルショー路線にしてしまった方が弾けたテンションは出せて良かったんじゃないかなーなんて思ったりした。映像演出とか多用して、バックのサスライトももっと色つけるとか。そう、なんか落ち着いていたんだよね。妙におとなしいというか、あの作品らしい、若々しい向こう見ずなテンションがなかった。

そしてその大きな原因のひとつは、キャスティングにあると思うのですよ…。正直言って主役はもっと若い人にするべきだったと思う。
元々が20代に変装して詐欺をしていた10代の男の子の役なんだから、やっぱりどう考えても40代に演らせるには無理がある。松岡さんすごく健闘していたし、歌も聞けたし、さすが滑舌は良いなあと思ったけど、演技はテンションのギャップというか、上滑りしてしまっているなーという、きついところはあったよ…。
韓国版のようにアイドルちゃんとまでは言わないけど、フランクという役は演技力よりもビジュアルや庇護欲をそそるカリスマ性に説得力がある年齢・容姿が重要なんじゃないかなー。


私は映画版の切なさやオチの持っていき方がすごく好きなので、空港で始まり空港で終わるのが綺麗なのはわかるけど、パパの死を伝えるタイミングとか、ママの話がフェードアウトしてしまうのとか、どうやって弁護士資格を取ったのか、を答えるあっさりさとかがどうしても残念だった。
けど、ママの描写を軽くした分パパとのエピソードに良いメロディをつけて印象を濃くしていたり、ハンラティとパパの場面を盛り込むことで父と息子の交流に焦点を当てていたのは良かったな。ラストに説得力が生まれていた。
そのせいでブレンダとの恋愛要素はちょっと蛇足っぽくなってしまっていたけれど…。(ていうかハンラティとフランクの絆もぼやけさせてしまっていた気が…映画と比べ過ぎかな)

今井ハンラティはダンス頑張っていた!!あんなに飛んだりはねたりすると思ってなくて笑、本人もネタにしていたけど息切れしながらのパフォーマンスは迫力あったし楽しかった!

戸井パパは駄目なパパを本当に駄目に演じていて良かったなあ。ウォルトディズニーの約束でも思ったけど、ああいう「愛情には溢れてるけどアメリカンドリームを追いかけすぎて金と酒に溺れて破滅する駄目男」ってアメリカ作品特有の気がする…。なまじ言うことは夢に溢れてるし妻子には優しいから子供からはスーパーヒーローに見えるところが性質が悪い。
制服の歌やネズミの歌、あとハンラティとの歌があったのでだらしがないけど息子を愛してるし息子の期待に応えられないことを辛く思っているのも伝わったし、いい役だったな。全体的にフランク→母の執着を弱めて父性を強く描く脚本だったけど、その方が後半のハンラティとの絆に説得力が生まれるし良かったのかな。

彩吹ママは、なんてまあ綺麗な女の人になっちゃって…笑
すらっとしてるし会話の節々にフランス語混じるのもなんか自然。ただ「新しいタイプのファム・ファタル」と称されるほどなのか?と言われるとちょっと良妻賢母感がある気はした。ふわふわ夢の中に生きていそうな不思議系ではあったけど。

舞台版でぐっと存在感を強くされていたブレンダ、そもそも映画では別にヒロインでもないと思うんだけど笑
Fly, Fly Awayがすごく良い曲で泣かされる。菊地美香ちゃん、すごく良かった。自分に自信が無いブレンダがフランクに感謝して、自由に逃げてほしいって願う心情がすごく自然だったし、その後違う人と結婚するっていうのも納得できる役作りだったな。
曲がすごく良いので聖子ちゃん版もぜひ聴きたいけど、役としては主役を食ってしまいそうな気がする…。
Seven Wondersも良い曲だし、ほんと曲のおかげで2人の恋が綺麗な感じにまとまっていて良かったね…?笑


でも今回の舞台版を観てなにより一番気に入ったのはソロの皆様ではなく、アンサンブルの使い方!
どの場面でもすごく効果的に迫力あるパフォーマンスをしていて、同じ衣装を着ていても一人一人の個性が光っていてすごく良かった!
アマゾネスこと肉食女子sすごく好き笑 肉感的なダンス、ソウルフルな歌声たまらないー。
捜査官のおじさん3人組もすごーく良かったなー。ハンラティも含めて、振り回される3人組がかわいいかわいい。


なんだか批判的な感想になってしまったけど、普通に楽しかったし曲は好きだったしキャストも(主役の年齢に不満は残るものの)良かった。
ただ映画の出来がすごく良い(映像としても、演出も、2人のキャラクターとしても)のでどうしても比べてしまうというか、映画原作じゃなくていっそ同じ題材を元に全く違う作品を作った方が良かったんじゃないかなあなんて思ったりもした。
突拍子もない話だけどノンフィクションだよというのがこの作品のミソなので、もっと役に人間的な深みが欲しい…。なんせディカプリオとトムのキャラクターが完成されちゃってる。
といいつつトニー賞パフォーマンスは今観てもとても楽しいし、やっぱりもにょってるのは作品そのものの作りではなく日本版の演出と完成度なんだろうなあ…。うーん、惜しかった。ただカンパニーが公演を重ねてもっともっと良くなるだろうなというのも感じるので、また時間を置いて観てみたいかな。できれば本場のNY版、もしくは韓国のアイドル版も観たいなー。