Just be!なりなさい自分がなりたい人に

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日本版の「キンキーブーツ」がとてもとてもとても良かった!
ので、観た舞台のことを久しぶりに書く。
海外作品を日本カンパニーで観て、こんなに手放しに良い!!!むしろ本家より好き!!!と思ったのはダディ以来かもしれない。



私がキンキーブーツと出会ったのはトニー賞のパフォーマンスで、その後映画を見てからNYで舞台版を観た。
初めてNYで観劇した時の感想は「本当によく出来ている!上手い、面白い!これは悔しい!」だった。
私はキンキーブーツと同年オープンでその年のトニー賞最有力候補と言われていたマチルダが大大大好きなので、後から現れて数多の賞を掻っ攫っていったキンキーブーツに対してどうしてもそういう見方もしてしまう。
だってスタッフも、人種ジェンダー親子愛One for allありのままの自分と他人というテーマも、揃い過ぎててあまりにも賞狙いなんだもの。2幕ラストの子役演出は号泣しながら「あざとい!絶対こうくるとわかってたのに泣かされるー!」と言っていた。
素朴なイギリスらしさ満載の映画版から煌びやかな舞台版への様々なアレンジも見事すぎて、そりゃいっぱい賞も獲るわ、まあ私はマチルダの方が好きだけどね(意地)と思っていた。
韓国で上演したのになかなか日本ではやらないな…と思っていたし、ミュージカルファンの友人達の間で「日本の俳優なら誰がローラを演じられるか」という話題は時々出ていた。(満場一致で岡様かにーろくんでした笑)
日本公演と主演2人の名前が発表されて、そうきたか…!とびっくりした。
稽古場映像を見て予想以上の出来になっていそうだとわくわくして、初日明けてすぐに観に行って、どハマりして、大嫌いなオーブにも数年ぶりに観に行ってしまって今に至る。

キンキーが作品として素晴らしいのはわかっていたのだけど、やっぱり楽しくておしゃれで強くて優しくてキラキラしていた。
最近「ありのままの自分でいなさい」というメッセージの作品はよく見るけど、キンキーはそれに加えて「ありのままの他人を受け入れなさい」というのも良い。
マイノリティだからって無理に主張しなくていい、わからないなら無理に理解しようともしなくていい、ただ誰もが他人の存在をそのまま受け入れたら良いのだというメッセージの優しさ!心が楽になる。
ローラの6つのメソッドも、とても好き。
素直に、私も頑張って私の世界を変えたい!と思える。
とにかく観た後にハッピーになれる幸せな作品だった。
唯一残念だったのは、劇場の質と、歌詞の日本語訳かな…。音にこだわったのだろうけど、英語を混ぜているところが多くて一度目は歌詞を聞き取るのにかなり神経を使った。勿体無い。


そして何より、三浦春馬のローラが本当に素晴らしかった。
新感線で彼を観て「舞台映えするし、歌もダンスも上手いし、また舞台で見たいな」と思っていたし、稽古場映像でハイヒールで踊りまくる彼を見てすごく期待はしていたけれど、
正直、ここまでとは思っていなかった。
ドラァグクィーンのローラは「綺麗なお姉さん」になってしまってはいけない。見るからに男性が女装してますと見た目でわかるアンバランスさが必要な役だから、元々さらっと綺麗めな外見の春馬くんがどうなるかな?と思っていた。ら、完璧に作り込まれた肉体を見せてくださった。すごい。タイトなドレスから伸びる美脚、そしてムキムキの二の腕。チャーリーを軽く見下ろせる身長、どこにいても一回り大きく見えるガタイの良さ。
え、春馬くんってこんなだったっけ?とびっくりした。見た目も随分改造したんだろうな。
ピンヒールで踊り狂い、キーを外さず綺麗に歌って、エンジェルズを率いる姿のうつくしさ。
そして一番感動したのはローラの内面が完璧に表現されていたこと。春馬くんはローラそのものになってた。
「ローラの世界」では華やかでありつつローラの狂気や虚勢を張っているところも見える。男性の格好をしている時の心許なさ、髪型もメイクも素の三浦春馬に近いのにローラにしか見えない。チャーリーの言葉に傷付き、成長し、父を受け入れ、自分を受け入れた先にあるJust beのしなやかさ。
歌が上手いとはいってもバラードを熱唱して音大卒の俳優と同じように聴かせられる程ではない、はずなのに、Hold me in your Heartでは演技の力でディーヴァのオーラを出していた。
Just beで肩の力が抜けたローラが一番好きだ。髪を靡かせて、心から生きるのが楽しそうな笑顔で、観客を愛しているのが伝わる目をしている。落ちてても引き上げてあげる、なりなさい自分のなりたいひとに、歌詞も相まって、ローラが神々しく見えて泣いてしまう。
三浦春馬の演じるローラに出会えて良かった、と思う。
本家も観ていたのにどうしてこんなに日本版が刺さったのかわからないのだけど、とにかく、三浦ローラには大真面目に自分のどこかを救ってもらえた気持ちになった。

小池徹平くんのチャーリーも、とても彼に合っていて良い役だった。
私はテレビの彼はとても好きだけど、正直舞台では観るたびに何か違和感があるなあと思っていて(たぶん歌い方が歌手寄りだからかな…)Wキャストの時なんかは避けていた。
のだけど、チャーリーはばっちりハマってた!本国のちょっとぼんやりした田舎の男性ぽさは無いけど、母性本能をくすぐる甘さ、真っ直ぐな正義感もぴったり。
歌い方にまだ癖があるかなーと思うけど、以前ほどは気にならず。
小池チャーリーいての三浦ローラだなあ、お互いが引き立て合っていて、とても良いコンビ。

2人以外ももちろん、パワフルで最高だった。ソニンちゃん、楽しそうで何よりだ~。笑
エンジェルズの皆さんは本当にさすが。女性でもあんなハイヒールで踊りまくれないよ!リングガールは肉体の美しさに拍手も起きていた。

大好きな場面はたくさんあるけど、やっぱりRaise you up/Just beがたまらない。
カンパニーのみんながキンキーブーツという作品を愛しているのが伝わってきて、多幸感でいっぱいになる。
ここに来たら幸せになれる、元気にしてもらえるって確信できる。ローラのお店が現実にあったら、絶対に通う。凹んだときに、あなたが変われば世界も変わるわ一緒に頑張りましょ、って言ってもらいたい。
千秋楽まで毎日でも観たいのだけど、どうにもチケットが無いので再演を祈ってる。こんなに好きになったカンパニーは久しぶりだ!いつかまたみんなに会えますように。
来日版も、楽しみです!