大人を救うメリー・ポピンズ

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大好きなミュージカル「メリー・ポピンズ」日本初演を観てきました。

私はイギリスが舞台のディズニー作品(アリス、ピーターパン、プーさんなど)はもれなく大好きなんだけど、中でもメリポピは特別な作品です。映画はもちろん舞台版が大好きでロンドンの初演も観に行きました。まさか日本で上演されると思っていなかったので、10年越しに観られることがめちゃくちゃ嬉しい。

魅力的なダンスナンバーと演出の数々。飛び出す絵本のような冒頭の仕掛けからあっという間に世界観の魅力の虜になってしまう。どの場面にも小さな魔法があちこちに散りばめられていて、本当に目が足りなくて、これぞディズニーミュージカルという感じ。
最高のホリデイは目に鮮やかだし、スパカリ〜はこちらもずっと笑顔になってしまうし、Step in timeは思わず歓声をあげてしまうし、爽やかで楽しくてわくわくする場面がたくさんあるのに、大人にもぐっとくるメッセージがたくさん詰まっていて、本当に素敵な作品だと思う。

「つまらないと思っているいつもの場所も、想像力を働かせれば楽しくなる。」「どんな仕事にも面白い部分はある。お砂糖一杯で薬が甘く感じるように。」「同じ6ペンスを何に使うかが重要だ。」あたりのフレーズなんて、普遍的で、教育的だなあと思いつつ、しみじみとその通りだな、と自らを振り返ってしまったり。最近自身の環境についてどうしたものかなあと考えていたりしたので、ぐっときました。

この作品が一貫して伝えてくれる「君がその気になればなんでも叶うよ」というメッセージは、子どもには希望のメッセージだし、大人にとっては「そう信じていたなあ」なんて切なさもある言葉だと思うんだけど、メリー・ポピンズを観た後だと不思議とまだまだ大人だって今からなんでもできるよね、という前向きな気持ちになれる。

私が舞台版メリー・ポピンズの特に好きなところは、メアリーの解釈を映画版より原作に寄せているところ。
原作は、メアリーは子供を助けに現れるというよりむしろ子供時代の心を忘れてしまった大人のためにやって来る、というテーマがあって、舞台版は特にその部分に比重が置かれているように思う。だから子どもが観て楽しめるファンタジックさがありながら、大人が見ても楽しめる深みのある舞台になっているのだろうな。

バンクス家に現れたメアリーは小さな魔法はたくさん使うけど、魔法によって他人の気持ちを変えたり劇的に環境を変えてくれるわけではない。なんなら大人たちは最後まで魔法の存在にも気付いていない。
ただ彼女の存在はバンクス家の全員に「同じ環境でも心構えや見方を変えるだけで捉え方が全然変わるよ、人生がずっと楽しくなるよ」ということを教えてくれる。

最後の空飛ぶメアリーのことも夫婦はキス中で見ていないし、メアリーの魔法は子どもたち(とバート)しか目撃していない。子どもたちはきっと大人になってから「あれは夢だったのかな」なんて思ったりして、でもメアリーに教えてもらったことはずっと彼らの中に残っていくんだなあと思うと、こう、目頭が熱くなりますよね。。(今冬公開の映画、メリポピリターンズも楽しみですね…)
本当に、いつか自分の子どもができたら見せたいミュージカルNo.1だし(おもちゃを大事にしないとおもちゃにも大事にされないよ、とか、普通に躾にもなりそうだ。笑)(ところであそこのtemper,temperが無くなっていてびっくりした)自分も繰り返し観たい作品だなあと改めて思いました。大好きです。

キャストについて

曲や脚本が良いのは知っていたけど、日本版キャストの期待以上のクオリティには本当に感動しました。オーディションに3年費やしたというだけある。どのキャストも本当に役にぴったりで、メアリーが、バートが、バンクス一家が生きてそこにいるみたい!
今回は一度きりの観劇と決めていたので、絶対に観たいキャストを全員見るぞ!と頭をフル回転して公演日を選んだよ。笑f:id:oukakreuz:20180509151812j:image

メアリー・ポピンズ:濱田めぐみ

過去3作品もディズニーミュージカルの主演を務めているめぐみさん。まさかまた彼女が演じるディズニー作品のヒロインを見られるとは思っていなかった(版権的な意味で。メリポピを輸入するにしても、絶対に四季が持っていくと思っていたので…)

まあ絶対上手いよね歌が楽しみだなーと思っていたものの、朗々と歌い上げる系の強いヒロイン(エルファバとかアイーダとか)の印象が強かったので、割とコミカルなメアリーはどうなるかな?とドキドキしていたんですが…もうね、さすがめぐみさん、メアリーを演じているというより「そこにメアリー・ポピンズがいる」という感じだった。上品な身のこなしとか、「サッサッサ(メアリーの口癖)」の言い方とか、階段のエスカレーターのような上り方とか、バートのあしらい方とか、子どもへの冷静で静かな叱り方とか、メアリーそのものだった。
ジュリー・アンドリュース演じる映画版のメアリーは朗らかでチャーミングないかにも「子どもに愛されるナニー」で、この解釈が小説原作者P.L.トラヴァースの意思に反するところも多かった、というのは有名な話。(このあたりのエピソードは「ウォルト・ディズニーの約束」というタイトルで映画化もされましたね。

個人的にこの邦訳はどうなんだよ!と思ってるけど!原題"Saving Mr.Banks"がすごく良いと思うのに。話がずれました。)めぐみさんはあまりニコニコしない、正論でバッサリ斬る、原作に近い理想のメアリーでした。
そして歌が抜群に上手いのはもちろん、あの激しいダンスを笑顔でさらっとこなされていて、もう、さすが…ミュージカルの女王…と思いました。ダンサー枠じゃないのに!あんなに踊れるなんて知らなかった!びっくりした。

バート:大貫勇輔

メリポピの輸入が決まった時に、バートは誰がやるんだろう?というのが一番の疑問でした。日本のミュージカル界は歌える俳優はいるけれど、ダンスメインでやっていて主役を張れる人ってあまり思いつかない。(四季にはダンス作品枠の方もいらっしゃるけど)で、大貫さんと聞いてなるほど!!と思ったのでした。まさに主役ができるダンサー。
大見せ場Step in timeはもちろん、出演中ずっと軽やかな身のこなし、黙っていても身体全体がいつでも「楽しい!愉快!」という感じで語っていて、すごくバートだった!歌より台詞より身体と表情とオーラ(としか言いようがない)で表現するの、さすがダンサーさん!と思いました。

バードウーマン/ミス・アンドリュー:島田歌穂

めぐみさんの次に絶対この人で観たい…と思っていたのが歌穂さんのバードウーマン。というか、めぐみさんと歌穂さんのデュエットが2曲も聴けるなんて、なんて贅沢な演目なんだ…!
バードウーマンは切なく、ミス・アンドリューはど迫力で最高だった〜〜。この2役が一人二役なの、事前に知らなかったら気付けないのでは…と思う。カーテンコールでの茶目っ気も素敵だった。歌穂さんは舞台のどこにいてもビシッと空間を引き締める存在感がありますよね。流石です。

ジョージ・バンクス:駒田一
ウィニフレッド・バンクス:木村花代

とても温かみのあるバンクス夫妻だった。冒頭のジョージはもっと血の通っていない仕事人間のような印象があったのだけど、初登場時から結構お茶目というかドジっ子というか(笑)親しみのあるお父様だなと。ミス・アンドリューに震え上がっている様子も可愛い。凧や星のジンジャーブレッドを見て過去を思い出してからの人間味もとても良い。子どもたちがずっとお父さん好き好きなのもわかるな。

花代さんは、発表時にはメアリー役にも合うのでは?と思っていたくらいなので、お母様役がしっくりきていることに驚いた。コメディエンヌぶりが流石です。
お母様の選挙権活動設定は初演から無いのだったっけ…前に見たときのことを忘れてしまったけど、元女優という設定もぴったりで良いと思う。

まとめてしまって申し訳ないけれど他の皆さんもとても良かった。特にミセスフリルの久保田磨希さん、存在感と歌唱力に「あの人は誰?」とぐぐったら、ドラマ大奥の「美味でございます〜」の方だとわかりびっくり。てっきり歌手の方かと。
アンサンブル勢揃いで歌い踊る場面がたくさんあって、みんなすごく良い笑顔で楽しそうなのがこちらも楽しくなった。ショーストップも多くて嬉しかったです。

 

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物販、見つけたら絶対に買ってしまうと思っていたので、傘が売り切れていて良かったです。。しかしどうしても何か欲しくなり、Tシャツ買いました。全く同じ柄のTシャツ持ってるのに…!

f:id:oukakreuz:20180511184444j:image最近のオーブはいつもフォトスポット用意してますね。韓国では昔から王道だけど、記念になってすごく良いと思う。子どもも楽しいし。

メリー・ポピンズ・ロンドン・キャスト・ミュージカル版

メリー・ポピンズ・ロンドン・キャスト・ミュージカル版

  • アーティスト: 演劇・ミュージカル,ローラ・ミシェル・ケリー,ネイザン・タイラー,ギャビン・リー,ローズマリー・アシェ,デヴィッド・ヘイグ,シャルロッテ・スペンサー,ジュリア・サットン,メラニー・ラ・バリー,テレル・ニュージェント,ハリー・ストット
  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・レコード
  • 発売日: 2008/10/29
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